HPFhito61・電極作りに精を出す産業技術総合研究所北海道センター主任研究員池上真志樹氏

 世紀の大発見から研究捏造に反転しそうな雲行きのSTAP細胞の研究が行われた理化学研究所は、国が面倒をみている研究所で、今後の特定国立研究開発法人(仮称)の候補に挙がっている。もう一つ、同じ法人組織にするのに名前の挙がっているのが産業技術総合研究所(産総研)で、同研究所の組織の一つである北海道センターが豊平区月寒にある。
 全国にある産総研のセンターはそれぞれの研究領域の部門があって、北海道の場合ライフサイエンス分野の「生物プロセス研究部門」と環境エネルギー分野の「メタンハイドレート研究センター」で研究を行っている。池上真志樹氏は前記研究部門の生体分子工学研究グループの主任研究員である。
 池上氏は筆者の研究室で「合成開口法を利用した超音波影像法の高性能化に関する研究」で1987年に博士号を取得して産総研に就職している。博士課程の時の研究と現在の研究テーマはかなり異なっていて、今回初めて同研究センターを訪れて研究内容を聞き、消化不良の状態で理解している。
 立ち話程度で説明された現在の池上氏の研究は、体内の代謝等に関与する酵素に電子を移動させて酵素の働きを活発化させ、生体情報のモニタリングを行う方法や測定装置の開発に関するものである。このため、酵素と接して電子をより効率的に酵素に移動させる電極、酵素固定化電極の開発を行っている。例えば、血糖値を測るグルコースセンサー等も研究開発の範疇に入る。
 研究の粗筋を書くとこんなところでも、実際の研究は込み入ったものなのだろ。見せてもらった金メッキした電極は、何の変哲もないただの電極にしか見えなかった。しかし、研究上では工夫が凝らされた電極らしい。
池上氏は、博士論文の超音波で物体の映像を映し出す研究に関連した画像計測から、現在のバイオ関係の研究に至るまで、微小重力環境における燃焼研究、3Dプリンタによる臓器モデル製作、光干渉型バイオセンサーと器用に色々な研究に携わってきている。
 池上氏は1958年の東京生まれながら、出身は札幌といってよく、札幌小学校、札幌中学校、札幌開成高校、理科大と進み、大学院で北大に進んだ。筆者は道新文化センターで都市秘境散策の講座の講師を務めていて、産総研を都市秘境に見立て、市民を連れて研究所の見学を予定している。その下見も兼ねて池上氏を訪ね、研究所の建物前でパノラマ写真撮影となった。
 かなり広い構内にいくつもの研究棟があって、研究室の雰囲気を見せてもらった。大学の構内の雰囲気に慣れているせいか、構内にも建屋にも人が少ない、という印象を受けた。何か都市秘境めいているな、と感じて受け持っている講座の見学先にはうってつけかと思われた。


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(産総研北海道センターでの池上真志樹氏、2014・3・27)

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