HPFhito33・来園者増に心を砕く円山動物園長見上雄一氏

 公共施設は設置目的があり、いくつかの目的の軽重は施設を運営する主体の性格で随分とイメージが変わってくる。札幌市内にある動物園と植物園を比べてみる。動物園は札幌市が管理・運営していて、市民が遊びに行く場所というイメージが強い。一方、植物園は北大に所属する研究施設であり、何か植物に関する研究が行われていると漠然と思われていて、事実そうである。
 動物園でも種の保存のために人工授精や飼育の研究の側面はある。しかし、国内初の何かの動物の人工飼育に成功したことがニュースになっても、それが論文で発表されることはないようである。動物園で働く飼育員は論文を書いて成果とする研究者からは遠い。動物園の経営という点からは、国内初の人工飼育がニュース報道され、来園者が増えることが主な関心事だろう。
 市の施設で動物園や青少年科学館は採算のとれない施設であることは傍目にもわかる。これは施設の目的が、教育やレクリエーションにあるので、そのために市の予算が投入されるので採算は二の次というところがある。そうは言っても、余りにも赤字が拡大する施設を維持するのは難しい。札幌市の職員から、何年か毎に送り込まれる円山動物園の園長は、この点に最優先の問題意識を持っているはずである。
 昨年(2012年)新しく就任した円山動物園長の見上雄一氏にとっては、来園者を増やし、動物園運営の経費の赤字が増えないようにするための方策を考え、実現することが最大の目標だろう。アジアゾーンの施設が新しく設けられたので、これを来園者増加の起爆剤にしたいところである。前部署が交通局で事務方であれば、利用客増への努力は習い性になっているのではなかろうか、と推測する。
 1984年に小樽商大の商学部商学科を卒業して札幌市役所に勤め、色々な部署の仕事をしてから動物園長となったので、来園者へのサービスにアイディアを出し、体当たり的に園長自ら実行することで園長職を果たそうとしている。しかし、動物の研究者でも動物園を経営してきた経験も長くはないので、多分アイディアは試行錯誤的なものなのであろう。
 パノラマ写真撮影を申し込んだら気軽に応じてくれて、園長室や園内で短時間の撮影である。歩きながらの取材で、園内でカラスに手に持った物を取られた客がいて、直ぐに寄っていって何か話していた。来園者への気配りを大切にしている様子が見て取れた。


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